③④の流儀間共通採用状況の表とグラフからは次のことが見受けられます。
1.流儀独自の曲は、観世が16曲で一番多く、他流は7~2曲と少ない。観世の共通採用曲は、金剛とは38・喜多と35曲と多く、宝生とは26・金春とは14曲とやや少ない。
2.宝生の共通採用曲では、金春との共通が3曲と少なく、観世・喜多とでは26曲で、金剛とは18曲となっている。
3.金春は、5流共通を除くと他流との共通採用曲が少なく、特に宝生とは3曲しかない。観世と14曲、喜多と12曲で、金剛とは10曲となっている。
4.金剛は、喜多・観世との共通採用曲が41・38曲と多く、金春との共通曲がやや少ない10曲となっており、宝生とは18曲となっている。
5.喜多の共通採用曲は、金剛とは41・観世と35・宝生と26曲ありますが、金春とは12曲と少なくなっています。
全体として流儀間の共通採用状況を見ると、特定流儀どうしで特別に共通曲が多いとか少ないとか指摘できる状況は見られず、どの流儀間でも似たような関係となっていることが分かります。
観世のグラフからは、金春との共通曲が少ないように見えますが、金春のグラフからは観世との共通曲が特に少なくなっているようには見えません。金春は5流共通曲を除けば、どの流儀とも共通曲が少ない状況となっているのです。
しいてあげれば、金春と宝生の共通曲が、5流共通採用曲を除くと3曲しかなく、他の関係に比べて少ないと言えるでしょう。
次の項目など、引き続き「能楽外縁観測第1部」をご覧になる場合は「謡曲の統計1」から進んで下さい。





