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その他 「能楽」外縁観測第1部 5. 「能」の曲名ごとの曲柄  1/2

2020-12-21

① 「能」の曲柄について

では、全246曲の曲名ごとに具体的な曲名を示しましょう。その前に曲柄について説明しておきます。

曲柄は、既に述べたとおり、一日に演ずる能の数を5番としたときに、世阿弥の序破急理論を当てはめて、その順序を定めたものですから、本来はその曲自身の内容から定まるものです。
しかし、実際には流儀によって異なる設定をしている曲が多くあります。また、同じ流儀内でも一つの曲に、4番且つ5番目物などと複数柄を持たせる場合のあることも前に説明しました。

現在、複数の曲柄を持つ曲は、109曲あり、全248曲の半分近くになります。この「能楽」外縁観測シリーズでは、流儀の多数が採用している曲柄を元柄とし、少数派の曲柄を兼柄として把握しました。そして、元柄でもなく、兼柄でもない別の曲柄を1流だけが設定しているような場合は、統計処理から外しました。

このほかに、各流儀は、定めた曲柄とは別に「略番」を設けています。必要によってその略柄のように扱って演ずるためです。
例えば、自分の流儀では4番目物としている「安宅」を略2番目物に定めておく、などです。略番で演ずる場合は、その略番の曲柄にふさわしく演ずると言われています。(略番の組み合わせ詳細は「能楽」外縁観測6をご覧下さい。)

以上から、曲柄は硬直した固定的なものではなく、演じ方や解釈などで融通できる部分のあることも理解したいところです。


② 曲名ごとの曲柄と略番表

では、全248曲の曲名ごとの曲柄と略柄を表で示します。流儀によって設定内容が異なるので、5流のそれぞれについて示しました。
始めに、5流で共通して採用している146曲について示します。「初番目物~3番目物」、「4番目物」、「5番目物」の3面に分かれています。

4流以下で採用の曲は、外縁観測5-2で掲載します。


表の凡例を示しておきます。(以下このシリーズで共通です。)
・曲柄グループ分けは、多数流儀の元柄とすることを原則としています。
・異名/異字で同曲の曲名は、採用曲の一番多い観世流の曲名に拠り、五十音順に掲載しました。(曲名の詳細は、「能」外縁観測1.能の曲名数集計についての補足表を参照して下さい。)
・流儀名は1文字の略称としました。
・曲柄は数字で示してありますが、「1」は初番目物、「2」は2番目物で、以下同様です。
・複数の数字のある曲は、二つ以上の曲柄が設定されている曲です。
・但し「,」の後の数字は、略番での曲柄を示しています。

次の項目など、引き続き「能楽外縁観測第1部」をご覧になる場合は「謡曲の統計1」から進んで下さい。

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