① 複数曲柄の組み合わせパターン
複数の曲柄を持つ曲は、何番と何番との組み合わせが多いのか、あるいは、何番と何番の組み合わせはないのか、などを表で示します。次の表に示した12種以外の組み合わせはありません。
複数曲柄で組み合わせの多い3パターンについて、代表曲を示すと次のとおりです。
4・5番目物=59曲:葵上、安達原、天鼓、小鍛冶、融、殺生石、石橋、巻絹、鉄輪、海士、山姥、安宅、恋重荷。(神男女に属さず、雑物の4番目と一日の最後の曲の性格を持つ曲となっています。)
2・4番目物=28曲:巻絹、三輪、弱法師、俊寛、景清、花月、橋弁慶、鵺、望月、鉢木、求塚、盛久、正尊。(主として男性が主人公で、2番目物の性格があり、雑物にも入れられる曲になっています。)
3・4番目=20曲:巻絹、弱法師、班女、花筐、雲林院、胡蝶、卒塔婆小町、竜田、遊行柳、西行桜、玉鬘、籠太鼓、鸚鵡小町。(本来の鬘〔かずら物〕と言われる3番目物ではないが、雑物=4番目の曲の中で、女性や草木の精が主人公の曲などが入っています。)
最後に、4っつの曲柄を持つ曲が1曲だけあります。それは「巻絹」で、初番・3番・4番・5番目物の曲柄が設定されています。本来の曲柄は雑物の4番目物なのですが、各流儀で他の曲柄を兼ねる曲として設定されているものです。詳細を流儀別で見ると、初番=金春、金剛、喜多。3番=観世、金剛。4番=全5流。5番=宝生。となっています。(別に、略番では、略初番=観世、宝生。略3番=金春、喜多で設定されています。)これは、主人公の巫女に天神がのりうつって神楽(かぐら)を舞うことから、初番の神物にも、3番目の鬘(かずら)物ものにも、さらには5番目物にもなる要素を持っているからです。






