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その他 「能楽」外縁観測第1部 9-2 「謡本」に関わる年表 (明治~昭和)

2021-01-22

「能楽」外縁観測9-2
     「謡本」に関する年表 (明治~昭和)


1868慶応4
◎花傳 〔9.8〕明治と改元。*巻2P356徳川幕府崩壊し、4座1流の能役者、扶持を離れる。
1882明治15
*全書 山岸弥兵衛刊金剛流謡本 20冊、内組100番。鴻山文庫他蔵。山岸本と通称金剛流最初の刊本。金剛流19代右近氏但本に基づく由。明治17年には全100番の外組本も刊行。  巻6P294 (氏但は又兵衛とも。1804文化1没70才)
1891明治24
*全書 謡曲新評 増田于信評注 三河屋書店 独特の評が魅力 著者には『新編紫史』の著作もある。20曲所収。巻6P295
1892明治25
*全書 謡曲通解 8冊 大和田建樹編 博文館 248曲、明治29年に20曲を増し。『増補謡曲通解』1冊とする。 翌年増訂して「謡曲評釈」9冊刊。豊公謡曲・曲舞集・索引を付載。鳥羽・清閑寺・高安小町・橋供養・北条等は本書にのみ収録。巻6P295
1899明治32
・6月25日~明治版5番綴本出版。訂正者=観世清廉(23世キヨカド。1911:明治44没45才)。発行兼印刷者=檜常之助。全44巻200余番。現行大成版より小さく(183×126mm)「現行仕舞型付」と同じ大きさ。正徳版の縮小コピーに見える。節譜号等の「濁点、振り仮名、弱吟と強吟の区別、浮き・引き・入」などを正徳版に書き加える形で明治版が出来ている。正徳版の持ち主が稽古した跡と見られる朱の書き込み類を明治版で追補した形になっている。
1907明治40
*全書 丸岡桂、観世流改訂本刊行会を設立し新形式の謡本を発行、従来の謡本を引
  離す。巻2P357
1908明治41
*全書 観世流改訂謡本 41冊。丸岡桂と観世清之*が提携して企画発行。本文節付・直し等を工夫し、不備な点の多かった従来の謡本に一大進歩をもたらした善本。巻6P294 (観世清之は、観世大夫19世織部清興の曾孫源次郎氏演のこと。明治42年61才で没。観世銕之丞家5世清永=キヨヒサの弟にあたる。梅若15世実へ養子に入り六郎と称す。のちに実家へ復帰して現在の分家観世喜之家を立て観世清之となる。)
*全書 江戸中期まで自由競争だった謡本の出版は、江戸末期には各流の家元と特定の本屋とが提携した本が独占する傾向を強めていたが、明治期になると石版印刷や活版印刷の技術の進歩もあって再び自由競争の機運が強まった。家元と提携する書店は家元の著作権を主張して他店を牽制していたが、丸岡桂が組織した観世流改訂謡本刊行会が従来の水準を抜く優秀な謡本を明治41年に刊行した際に訴訟となり、丸岡側が勝訴する結果となった。巻2P299 表章:能の歩み
*全書 四流対照謡曲二百番 3冊 芳賀矢一校訂 金港堂 観世・宝生・金剛・喜多の異同を対照させて便利。金春を欠くのと校訂の荒さが難点だが、未だ類書がない。 巻6P295
*全書 4流対照謡曲二百番。 巻2P357
*全書 吉田東伍、『猿楽談義』を発見し能楽館より刊行。 巻2P357
1909明治42
*全書 吉田東伍『能楽古典世阿弥十六部集』。巻2P357 能楽会刊。(1940昭和15参)
□ 能勢朝次著『世阿弥十六部集評釈』では、吉田東伍博士の十六部集(吉田本) を本文としながら、その構成を花伝書、花鏡、至花道書、二曲三体図絵、遊学習道見風書、九位次第、能作書、音曲声出口伝、曲附書、風曲集、五音條々、五音、習道書、申楽談儀、夢跡一帋、七十以後口伝、金島書の17編としており、吉田本と異なっている。評釈によれば、「音曲声出口伝と五音は吉田本に欠けているため観世宗家蔵本を本文とし、吉田本で花伝書の中で覚習條々として収められていたものを、  花鏡として編成した」ものである。また、「吉田本において、花伝書の最初の3条(一調二機三声、動十分心動七分身、強身動宥足踏強足踏宥身動)と、第6條(花修)が缺けているので、観世宗家本を本文とした」と記されている。なお、評釈においては、川瀬一馬氏が発見紹介せられた六義と遊楽芸風五位を昭和24年に上巻で増補しており、全19編の十六部集評釈となっている。 (1421応永28、1913大正2、1930昭和5、1940昭和15、1943昭和19、1949昭和24の各項参照)
*観世流改訂謡本、刊行終了。同本をめぐる訴訟が起こり、五流宗家は家元制度擁護を目的とする連名の声明を発表する。巻2P357 (訴訟は丸岡側が勝訴)
□ 観世流改訂本刊行会を版元とする茶と緑の格子表紙の謡本を見ると、昭和16~18年印刷は本文監修文学博士井上頼國、本分訂正・丸岡桂、 節附訂正・観世清之。昭和23年印刷版では、版元・能楽書林:観世流改訂本刊行会、著作者・観世流改訂本刊行会編纂部代表:丸岡明、節附は記載なし、となっている。尚昭和16年印刷本はタイヘイレコード付録非買品と奥書きされている。
1911明治44
*全書(新訂)謡曲全集(学生文庫)3冊。丸岡桂校訂。至誠堂。 観世の古刊本を主体に172曲を収む。名義は大町桂月。巻6P295
*全書 謡曲全集(国民文庫)2冊。古谷知新校訂。国民文庫刊行会。上巻は現行観世200番。下巻に300番本と400番本を翻刻。巻6P297 (狂言集は前年刊)
1911明治44年1月~1915大正4年6月
☆評釈 能楽誌上に、山崎楽堂、鈴木暢幸、池内信嘉三氏の共同研究になる「世阿弥十六部集」が連載される。  上巻序P3  (1940昭和15 参)
1913大正2
*全書 謡曲狂言 2冊 平林治徳編 中興館 第二輯は昭和10年 謡曲を脚本としてとらえ、舞台面を想像しつつ読めるよう詞と節の部分を区別し、役ごとに改行、型付・装束付・写真絵図等を加える。この形式は以後の類書に影響を与えた。巻6P295
☆評釈 [8月]藤代禎輔博士、「音曲声出口伝」を雑誌「芸文」に発表。 片山九郎三郎氏の好意により、観世宗家に伝えられた所謂宗節本花伝書を見せられ、吉田(東伍)博士の校訂本と対照して発表された。然るに、宗節本には花伝第六花修がなく、その部分にこの音曲声出口伝が加えられ、吉田博士校訂本の花伝書には第六編がなかったため、永く花伝書第六編として扱われてきた。昭和6年に小澤健雄氏が観世宗家蔵の花伝書第六編花修を発見せられ、音曲声出口伝は花伝書とは別個の秘伝と見るべきものとなった。 下巻P3 1419応永26参
1914大正3
*全書 謡曲叢書3冊。芳賀矢一・佐々木信綱校注。博文館。全現行曲と番外曲(300番~500番本)を収め、簡略な頭注を施す。校訂はやや荒いが548番と曲数が多く、便利。巻6P297
1919大正8
◎花傳 丸岡桂没42才。『古今謡曲解題』刊行
1920大正9
・観世流大正改版(あtらためばん)発行。訂正著作者:24世観世左近元滋(清久1939昭和14没45才)、発行印刷:檜常之助(現檜書店)。内組22冊110番、外組13冊62番、別能組  6冊28番の計200番、及び番外(神歌・乱曲)1冊と、解説書1冊の計43冊。本の大きさ、1頁7行、1行12~13字、ふりがな、書体、節付符号等、現在の大成版に酷似。「大正改版節付凡例観世流謡曲正本精解」に節の詳細な解説、舞・進退・囃子の種類、番組順序の説明、習物・段物・季・独吟等が20丁に及んで解説してある。本文と節附は、光悦本を祖とし天保版を参照して、伝統的謡本の特質を考慮しつつも完全なる改訂を企図して新本を刊行。書体、送り仮名、振り仮名、スラリ・サラリなどの謡い方、その他全般に亘って一定のルールをもたせている。特筆事項として各曲ごとに、梗概・役割・装束附・季・所・曲柄・稽古順・作者を記した。小謡・独吟・仕舞・囃子の個所を欄外に示した。番組の順序等の解説、習事・段物等の説明を別冊「精解」にまとめている。
1925大正14
*全書 謡曲〔校注日本文学体系〕 2冊 長連恆校注 国民図書株式会社 5流現行曲(249)と古典拾遺として廃曲50曲を収む。巻6P295
1926大正15
☆評釈 池内信嘉「世阿弥十六部集意訳能と謡の起源」を出版  上巻序P3  (1940昭和15 参)
☆評釈 野々村戒三「校註世阿弥十六部集」を出版  上巻序P3 (1940昭和15 参)
1928昭和3
*全書 謡曲百番 4冊 正宗敦夫編 日本古典全集刊行会 日本古典全集の一江戸初期刊「擬光悦本」(古活字)の復製。巻6P295。  (擬光悦本は、1616元和頃の項参照) 
*全書 謡曲三百五十番集 野々村戒三編 日本名著古典全集刊行会 現行曲・曲舞・番外曲を1冊に収めて簡便。解題も詳しく、『能本作者注文』等を付載する。巻6P295
1929昭和4
*全書 謡曲集〔有朋堂文庫〕2冊 野村八良校注 観世流改訂本を底本とし内・外・別の200番を納める。巻6P296  (改訂本は丸岡桂関与1907明治40以降の項参照) 
*全書 謡曲狂言新選 高木武校注 広文堂 明和改正謡本*を底本としている点が珍しい。25曲を収める。巻6P296  (明和本は、1765明和2以降の項参照)
1930昭和5
*全書 謡曲大観 7冊 佐成謙太郎著 明治書院 昭和6刊 首巻は詳細な総説、本巻5冊は主に観世流を底本とし、1曲ごとに解説・語釈・口語訳・間狂言・考異を加えた全現行曲・235番 と、別巻は闌曲・語句索引。謡曲研究に一時期を画した大著。巻6P296 (考異は5流と古版本を対象)
△大観 謡曲大観(佐成謙太郎著、五流235番の本文・注釈等)刊行開始、翌年全7巻完了。昭和28年複刊(縮小版)。38年重版(豪華本)。57年影印版刊。 (同書序文・例言・奥書)
△大観 「(謡曲大観)本文について ロ、本文の校訂」:本文の底本は、その流の現行謡本を採りましたが、漢字・假名遣等は、古謡本及び諸流謡本を参酌して、その穏当なものに従ひました。1巻例言P5
△大観 「(謡曲大観)考異について ロ、古謡本異同」:謡本の詞章は、殆ど原形のまゝ伝へられて来たのでありますが、元禄・1700頃以前とその以後とでは、やゝ著しい差異の、認められるものがないでもありません。・1765年の明和改訂本の影響か。 そして、この古謡本、従って原形に近いものを知ることは、いずれの點から見ても、大切なことだと思ひますので、慶長光悦本をはじめ元禄以前の古謡本の索め得ましたものは、その最も古いものに従って、これを現行曲と比較して、その相異は大小となくすべて原文のまゝで指摘しました。なお、世子六十以後申楽談儀、金春禅竹の五音次第・五音三曲集等に謡曲の一節を引いてゐますものは、これこそ原形を知る最も大切な資料でありますから、本項の末、又は解説の作者の項に於いて、その全文を挙げ又は現行曲との異同を弁じて置きました。1巻例言P12(謡曲大観首巻の例言P10「語釈について」の項で、「謡曲の語句の解釈は、夙く豊臣氏の頃から大仕掛に行われ、徳川末期、犬井恕軒の謡曲拾葉抄に於い   て一度大成したのであります。その後、明治に入って、大和田建樹氏の謡曲評解、丸岡桂氏の観世流改訂本(刊行会本)辞解等に於いて、更にこれを修補せられて、著者の新しく加え得る所は甚だ少なかったのでありますが、多少は修正し得たかと思って居ります。」 とも述べて、刊行会事業を肯定的に捉えていることが覗える。)
1930昭和5
☆評釈 五音上下2巻は、観世宗家に伝えられた伝書であって、昭和5年に片山博通氏(後の観世24世宗家左近元滋=清久の弟)が発見、昭和7年に観世宗家から能楽資料叢書第2篇として、コロタイプ版で出版された。五音曲條々の姉妹篇であり、同時代の永享初年頃成立か。下巻P189
1931昭和6
□〔4.10〕昭和版二百番発行。訂正著作者=24世、観世左近・元滋(清久1939昭和14没45才。) 発行兼印刷者=檜常太郎。発行所=檜書店。朱記号2色刷り五番綴り。従来の謡本の面目を一新した大正版改訂の経緯を述べ、更に本文・節附の厳正を期し、精密なる前附を附し、また上欄に演能の素描画を添えるなどして昭和版を刊行。 [『昭和版節付凡例観世流謡曲正本精解』改訂要旨] 特筆事項=読みやすい書体・統一した節譜で全部新に書き下ろした。大正版で加えた詳細な節譜や謡い方などを朱書して旧来の節譜と判別できるようにした。前附として各曲ごとに、梗概・謡い方・能の異式・小書 ・語釈・間狂言・小道具作り物装束附の解説を施した。演能の舞姿を本文欄外に挿入した。習い物にも悉く詳密なる節譜を附した。演能述語解説・番組順・習い事・段物等の説明をまとめた。面・被物・装束・扇・作物・小道具について曲目別及びその種類別の索引表を載せた。
1935昭和10
*全書 解註謡曲全集 6冊 野上豊一郎著・編の誤り 中央公論社 現行240番を種別に配列し、各曲最も適当な流派の本文を採択。謡曲を戯曲として把え、一曲を序破急五段の原理で分析する。主題の把握とその叙述が魅力的である。 巻6P296 (昭和24年に改訂版)
1938昭和13
*謡曲〔日本古典読本〕 風巻景次郎著 日本評論社 人物の性格、脚本の把え方と 時代思潮をふまえた評釈が異彩。巻6P296
1939 昭和14
□現在使用中の観世流大成版刊行(初版は昭和15)訂正著作者=24世、観世左近元滋(清久1939昭和14没45才)。発行兼印刷者=檜常太郎。発行所=檜書店。同書初心謡本上巻序文で、「分家銕之丞、長老梅若万三郎の帰参を見、210余番を5年かけて改訂」と記述。初刊5番綴、205番(神歌、乱曲を除く)、後に1番綴。戦後、蝉丸、求塚、大典を追加して208番。
1940昭和15
*軍国主義の時勢下、能・謡に対する当局の干渉のため、「蝉丸」等の上演を自粛し詩章も改訂す。巻2P359
☆評釈 〔6月〕『世阿弥十六部集評釈』上巻発行、能勢朝次著、岩波書店。(昭和24年に増補再版)
☆評釈 序に、「明治42年に吉田東伍博士の整理校註を経て能楽会より出版せられた世阿弥十六部集によって、能楽方面の研究が如何に大きい進歩を遂げたかは計り知るべからざるものがある。本書には、花伝書、花鏡、至花道書、二曲三体図絵、遊学習道見風書、九位次第、能作書の七篇の評釈を収めた。」とある。 (1909明治42、1913大正2 参)
☆評釈 凡例に、「花伝書第六編が吉田本に缺けているため、観世宗家より昭和6年6月にコロタイプ版として頒布せられた、観世宗家本の「花伝第六花修」を本文とした。」 とある。
1942昭和17
*全書 『能楽全書』刊行を開始する。東京創元社発行 野上豊一郎編集 西野春雄解題付補注 総合新訂版 全7巻、昭和54.7.5.~初版発行  巻2P359他
*全書 西野春雄「巻2P341~能楽史略年表、巻2P313~能楽諸家系譜、巻6P291~能・狂言文献一覧」、表章「巻2P266~能の歩み」、高安吸江「巻6P78~謡本の話」等も所収。
1943昭和19
☆評釈 〔1月〕『世阿弥十六部集評釈』下巻発行、能勢朝次著、岩波書店。以後10数刷あり。
☆評釈 序に、「本書には、音曲声出口伝、曲附書、風曲集、五音條々、五音、習道書、申楽談儀、夢跡一帋、七十以後口伝、金島書を収めた。」とある。(都合10編となる。上巻7編と合わせ計17編)
☆評釈 凡例に、「音曲声出口伝と五音は吉田本に欠けているため、観世宗家蔵本を本文とした。」とある。 (1909明治42、1930昭和5 参)
1948昭和23
*全書 観世流に女流師範・山階敬子等 誕生。巻2P359
1949昭和24
☆評釈 〔3月〕『世阿弥十六部集評釈』上巻再版(川瀬一馬氏の発見紹介せられた 「六義」、「遊楽芸風五位」を増補)。以後10数刷あり。
1949昭和24~1957昭和32
*全書 謡曲集〔日本古典全書〕 3冊 田中允校注 朝日新聞社 天正頃の金春流車屋本を底本とし、135番を収める。はじめて謡曲のリズムを生かして句点を打ち、頭注は掛詞・縁語・押韻等の解明に力を注ぐ。上巻の解説は野上豊一郎。 巻6P296  (1596慶長初年頃 参)
1950昭和25~1951昭和26
*全書 謡曲名作集〔新注国文学叢書〕 3冊 川瀬一馬校注 講談社 代表曲80番を、求め得る限りの古写本・古版本を底本として収録する。詳細な概説と補説・研究論も有益。巻6P296
1960昭和35~1963昭和38
*全書 謡曲集〔日本古典文学体系〕 2冊 横道萬里雄・表章校注 岩波書店 世阿弥自筆本をはじめ最良の古写本を選び、小段分析によって能の脚本的構造を明かにし、詳注を加え、音楽・演出上の構成等を記す。作者別72曲、その他の能30曲(宝生流現行本)を収録。戦後の謡曲研究を大きく飛躍させた。巻6P296
1963昭和38
*全書 レコード『能』(解説・横道萬里雄)。巻2P360
△大観 「・謡曲大観重版にあたって」:諸流の謡本には、本書刊行後(旧謡曲大観昭和5年刊) 多少改定されたものがありますが、観世流昭和版正本・昭和6年刊 はその校訂を著者・佐成謙太郎 に委嘱されましたので、その用字など概ね謡曲大観と一致することとなりました。ところが、〔蝉丸〕不敬論などの起った戦時中、また改修が行われました際には、著者はその企画に参与しなかったのですが、今日から見ればむしろ改悪であったと思はれる節々がないでもありません。いづれにしても謡曲大観の本文をそれらによって改変する必要はないと認め、これに触れないことにしました。 1巻例言P14 (戦時中は、蝉丸上演中止の他、文章の言い換えが行われていた。)
1973昭和48~1975昭和50
*全書 謡曲集〔日本古典文学全集〕 2冊 小山弘志他校注 小学館 観世流寛永卯月本*を主たる底本とし、77曲を曲趣別に収め、頭注と現代語訳を付す。 巻6P296 (1629寛永6の項参照)
1977昭和52
*全書 元和卯月本謡曲百番〔笠間選書〕 後藤淑他編2冊 笠間書院 観世流最古の版本である元和卯月本の翻刻。 巻6P296  (1620元和6の項参照。但し、観世流最古の版本は慶長の光悦謡本。1609慶長14の項参照)
1978昭和53
*全書 謡曲二百五十番集索引。巻2P361
1979昭和54
*全書 能楽史新考(表章)。巻2P361
1983昭和58
□(3.10)新潮日本古典集成「謡曲集」伊藤正義校注、全3巻100番。光悦謡本(1609慶長14の項参照。観世流最古の版本)鴻山文庫蔵特製本を底本とする。解説に「謡曲本文の展開」等がある。



引用文献の概要

◎花傳=財団法人観世文庫年報「花傳」 2冊
Vol.3・4(1996.3.31・1999.3.31発行)「観世」中心の能楽史年表(表章編)
・表 章(おもてあきら) 財団法人観世文庫常任理事 以下能楽全書執筆者紹介より。1927年生まれ。国文学者。北海道に生まれる。東京文理大卒 法政大学教授 法大能楽研究所所員中世文学(能学)専攻 能楽史研究で著名 著書「能楽史新考(一)」「猿楽談儀岩波文庫」、共著「謡曲集日本古典文学体系上下」「金春古伝書集成」「日本思想体系世阿弥禅竹」ほか (能勢朝次氏に教えを受く。*巻2P312)

*全書=総合新訂版 能楽全書 全7巻
・野上豊一郎編集 西野春雄解題付補注 東京創元社発行
・昭和17年7月「能楽全書」全6巻刊行開始。総合新訂版、昭和54.7.5.~初版発行
・殆どは西野春雄担当の次の記述から引用した。(*記述で断わりなきは西野からの引用)巻2P341~能楽史略年表  巻2P313~能楽諸家系譜  巻6P291~能・狂言文献一覧
・西野春雄 1943年生 法政大学助教授(当時) 法大能楽研究所所員 青森県に生まれる。法大大学院博士課程修了。中世文学(能学)専攻。著書「世阿弥日本の名著」、共著「下間少進集Ⅰ能楽資料集成」ほか。
・他の引用の1つは巻2P266~の表章「能の歩み」からである。(表章は前項参照)
・今1つの引用は高安吸江で、巻6P78~の「謡本の話」が元である。
・高安吸江(六郎) 1878~1959 演劇評論家 医学博士 大阪に生まれる。東大卒 家業の高安病院を継ぐかたわら、能・歌舞伎・文楽など伝統芸能に評論の筆を執る。蔵書家として著名で謡本研究の基礎を固め、俳句もよくした。高安月郊(三郎)の実弟 著書「光悦の謡本」

△大観=重版 謡曲大観 影印版 全7巻
佐成謙太郎著 明治書院発行
・昭和5年10月20日第1巻初版発行 昭和6年10月別巻刊行で全7巻完成
・昭和28年12月第1巻複刊 昭和29年12月首巻発行で全巻複刊(縮小A5版)
・昭和38年11月重版刊行(初版と同じ大きさ、豪華本)
・影印版  昭和57年4月20日~発行

☆評釈=世阿弥十六部集評釈 全2巻
・能勢朝次著、岩波書店発行
・昭和15年6月上巻、19年1月下巻発行。
・昭和24年3月再販(上巻に、「六義」と「遊楽芸風五位」を増補)
・昭和44年1月上巻12刷、5月下巻10刷発行

*引用者付記の、没年・没年齢・異名等は能楽全書巻2P313~西野春雄「能楽諸家系譜」等を参照した。

次の項目など、引き続き「能楽外縁観測第1部」をご覧になる場合は「謡曲の統計1」から進んで下さい。

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