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その他 能楽外縁観測第4部-2 春夏秋冬の場合

2022-08-01

では、四季を表す「春夏秋冬」はどうでしょう。
 全体平均で見ると、「春・秋」が2.7~2.0回/曲と多く、「夏・冬」は、その1/10程度になっています。やはり詩歌の世界は春と秋に限られるようです。

 全体の順位で、「春」は51位、「秋」は83位になっています。「夏・冬」は300位以下です。

 1番目=神物曲は、「春」が他の曲柄より断然多くなっています。世阿弥が朝一番の曲はめでたさが第一と言っており、めでたさには春が似合います。そして、神は「月」と縁が薄いようだと前回に指摘しましたが、その月で象徴される「秋」も他に比べ少なくなっており、矛盾がありません。

 3番目=女物曲は、やはり「花」と同様に「春」が多く華やかさが漂います。一方、「秋」が他の曲柄より多くなっています。高貴な女性には「秋」の愁いが似合い、「月」が添えられて絵になるということしょうか。

 2番目=男物と5番目=鬼物は、四季を表す文字がやや少なく、男物では「秋」が、鬼物では「春」が特に少なくなっています。男と鬼は季節にあまり左右されることなく活躍しているようです。特に「秋」は男と、「春」は鬼と縁がうすい、という数字になっています。

 4番目=狂物くるいもの曲はほぼ全体の平均と同じになっています。4番目は狂物とは言われますが、他のジャンルに入らない雑多なものを包含しており、グラフはその結果を反映しています。
 (146曲の本籍・略番及び季節の構成についてもシリーズの中で紹介して行きます。)

【予告】次回は「第4部-3 山河草木などの場合」です。

次の項目など、引き続き「能楽外縁観測第4部」をご覧になる場合は「謡曲の統計4」から進んで下さい。

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