その他 能楽外縁観測第4部-16 謡曲の文字数や文章数
2023-03-01
謡曲詞章から特定文字の使用状況を抽出・分析をしてきましたが、146曲についての、文字数、文章数、口上回数等を調べてみました。
謡曲は能役者の発する言葉を綴っており、長い曲も短い曲もあり、ボリュームに応じた文字数・文章数となっていました。全部のセリフや謡ウタイが文章で構成されています。そして、主人公等の相手役及びナレーターを兼ねる地謡ジウタイ=合唱は、一つ又はいくつかの文章を口上ごとに謡ウタって進行します。これを理解して頂いて、全体の文字数などを表にして示します。(注:謡本テキストには狂言方の間アイ狂言の台詞が省略されています。)
最初の表は、146曲について曲柄別の、曲数、文字数・文章数・口上数を曲柄別に計上しています。
146曲の合計で、約31万余の文字、3万余の文章、約8500回の口上となっています。
次の表は、1曲当りの数を示しています。
全体の平均で、約2200文字、約210文章、約60回の口上となっています。
1曲は平均400字詰め原稿用紙で5~6枚のボリュームになります。これは、新聞コラムの天声人語(朝日新聞)や日報抄(新潟日報)の600余字と比べれば、4倍弱になります。
1曲の演能が比較的に短い曲でもおよそ1時間は要するのに、コラム4日分にも満たない短さです。現代の短編小説の半分以下であり、長編小説の数%のボリュームでしかありません。その短い中に、濃密な心理を描写しているのですから、スゴイことです。
3番目の表は、1回の口上でいくつの文章を述べているか、また、1つの文章はいくつの文字から成っているかを示したものです。
1回の口上で連ねる文章は平均で見ると3~4と非常に短く、一つの文章も平均10文字程度で、一般の文章と比べ、極端に短いことが分かります。(曲柄別の分析は次回とします。)
【予告】次回は「第4部-17 曲柄別の文字数などについて」を2023.3/15に掲載の予定です。
次の項目など、引き続き「能楽外縁観測第4部」をご覧になる場合は「謡曲の統計4」から進んで下さい。