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その他 能楽外縁第4部-17 -2 曲柄別の文字数などについて2/2

2023-04-01

前回の続きです。

④1文章当り文字数
146曲の平均では約10文字/文章となっていました。これは、現代の通常の文章と比べて相当に短いものだと思います。謡曲の文章は学術論文や小説などと違って、一つのセンテンスで複雑なことを述べようとしておらず、分かり易さを求めたためと思われます。また、節を付けて謡う詩文であることから、いわゆる七五調を基本としているので、5文字の句、7+5文字の句が並んでいますから、長い文章で12文字になっています。
グラフでは曲柄による差があまりありません。ただ、1番目の曲は、他の曲柄より、やや文章が短くなっていることが分かります。これは、①グラフ解説にも触れましたが、分かり易さを旨とする「」の曲の特徴と思われます。世阿弥は各種伝書で朝1番の曲は、第一に目出度いこと、そして、観客を自然に舞台へ引き寄せるために、分かり易く作るべきだと繰り返し説いていました。その結果がグラフに現れているのですから、驚きです。


⑤1口上当り文章数
146曲の平均では3.6文章/口上となっていました。お役と地ジを平均して何の意味があるかと思われますが、1回の口上にいくつの文章をつないでいるかを次のグラフで見ると、曲柄による差が非常に少ないことが分かります。1番目の曲だけが、8%少なく、あとは数%の差に納まっています。1番目が少ないのは、分かり易さを追求して、1回の口上で多くの文章を連ねることを避けた結果と思われます。

【予告】次回は「第4部-18 使用頻度の高い40文字」を2023.4/15に掲載する予定です。

次の項目など、引き続き「能楽外縁観測第4部」をご覧になる場合は「謡曲の統計4」から進んで下さい。


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