では、これまで見てきた室町期演能と織豊期謡本等の記録を、現行全248曲について50音順で一覧できる表を示します。現行採用流儀と現代60年間の演能頻度も付けました。
それぞれの曲が室町・織豊期でどの程度で演じられ又は取り扱われてきたのかが一覧して分かると思います。あるいは、江戸前までは登場していなかった曲のあることも分かります。能公演や謡会の番組を見て、その曲が昔からよく演じられてきた曲なのか、さらには、現在も良く演じられている曲なのかが、一目で分かります。興味を持って頂ければ幸いです。
注)2024年1月31日時点では10表に分けて掲載しましたが、3月8日に9表にして第5部-16・17・18にまとめ、注目曲にカラーバーを付けて再掲しました。以前の第5部-19及び19-2は削除して、5部-20以降の節を繰り上げました。
凡例等は次のとおりです。
NO.:五十音順の通し番号
曲名:現行全248曲(異名同曲や異字同曲などは第1部-1参照)
黄色:観世流大成版百番集所収曲(続百番集ではない。昔の内組に相当)
ゴシック:観世流で習い物の36曲(他流でも大切にされている。)
室町初期:世阿弥期演能記録で継続65曲は◎、一旦中断後再開22曲は〇で、計87曲(前節の配点で2点曲は◎、1点は〇。以下同様。)
室町中期:演能記録3~7回の38曲は◎、2回以下の74曲は〇で、計112曲
室町後期:勧進能記録2回以上の25曲は◎、1回のみの58曲は〇で、計83曲
織豊期写本:2版掲載の54曲は◎、1版のみの55曲は〇で、計109曲
織豊期車屋本:2or3版掲載の45曲は◎、1版のみ掲載の85曲は〇で、計130曲
織豊期謡抄:5版掲載の82曲は◎、4版以下の26曲は〇で、計108曲
青色:上記6期中、5or6期にマークありの62曲
現行採用流儀:観世・宝生・金春・金剛・喜多の5流採用状況を略記。(喜)は喜多流の参考曲。
緑色:現行シテ方5流で共通して採用されている146曲
現代演能頻度:1950~2009年の60年間の観世流有料演能の年間平均演能実績の記号化
A:10~25回45曲 B:4~9回58曲
C:1~3回64曲 D:年1回未満41曲
E:演能実績調査対象外40曲(観世流非採用曲と、大典・三山・松浦佐用姫)
赤色:Aの45曲
全体で9表となり3節に分かれています。
50音順曲名による一覧表番号の索引は次のとおりです。
・翁&あ行~か行こ:第5部-16(1/9~3/9)
・か行こ~は行は:5部-17(4/9~6/9)
・は行は~ら行:5部-18(7/9~9/9)
次回は2024.2/15に能楽外縁観測第5部-20「江戸時代の演能状況」を掲載する予定です。
引き続き第5部をご覧になる場合は「謡曲の統計5」から進んでください。






