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その他 第6部-2 江戸初期能番組七種の概要

2024-02-28

前節で紹介した江戸初期能番組七種について、それぞれの行事年代範囲・番組資料数をグラフにすると次のとおりです。資料をA~Gの記号で示しました。
七種の資料は1509~1668年の79年間の934種(件)の能番組の記録が元データとなっています。上のグラフのデータは次表のとおりです。
グラフと表から、資料C・E・Fは100~400種の番組を所収し、他の4資料は40~70種であることが分かります。また、各資料の行事記録期間は、C・Dは60年近く、B・Eは30年強と、それぞれ長い期間を所収範囲としています。

ここで、七種の資料がカバーする行事年代範囲を、強引ですが10年刻みで比例配分して、年代ごとの資料数と構成比のグラフにすると次のとおりです。
1603年が江戸時代の始まりですから、能番組7種は、織豊後期13年間のデータが含まれ、記録の9割強の能番組はその後の66年間分であり、江戸時代全体の1/4にあたる初期についての記録であることが分かります。秀吉の時代と、家康から秀忠・家光・家綱前期と徳川将軍四代の時代にあたります。

資料の充実している期間は1620~1640年代の30年間で、全資料の60%を占めています。この期間は二代秀忠将軍(在位1605-1623)の3年余の時代と、三代将軍家光(在任1623~1651年)の27年間弱にあたるので、ほとんどが家光将軍時代の資料で構成されていることになります。

次回は2024.3/15に第6部-3「江戸初期の演能回数など」を掲載する予定です。

引き続き第6部をご覧になる場合は「謡曲の統計6」から進んでください。

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