その他 第6部-15 触流し御能組のデータ
2024-08-22
先ずは、「触流し御能組」に記された演能記録期間と時代の関係を示しておきます。参考までに第6部-1で紹介した「江戸初期能番組七種」の記録期間も一緒に示しました。
江戸時代1603~1868年の真中は1735年ですから、「触流し御能組」の記録開始はその20年前の1716年から141年間の記録となっており、これを江戸中後期として把握できます。なお、1862年までの記録なので幕末の6年間の記録が欠けていることになります。
「江戸初期能組七種」のデータは、織豊中期の1590年から江戸初期の1668年まででしたから、「触流し御能組」と合わせて江戸時代で把握できていない期間は、江戸中期1669年から1716年の47年間と、幕末の6年間で、あわせて53年間の欠損となります。これは、江戸時代265年間の20%に相当します。つまり、江戸時代の8割の期間は把握したことになります。
次に、「触流し御能組」の演能記録の将軍在位期間との関係をグラフで見てみます。
最初の8代将軍吉宗の期間では、吉宗の将軍就任の1716年から、演能記録の始まる1721年までの5年間はデータが欠けます。29年間に対して17%の欠損となります。
9代家重、10代家治、11代家斉、12代家慶、13代家定の期間は100%カバーできています。なお、家斉の在職50年については、前期と後期に分けました。
データの最後が1862年までなので、14代家茂については、最後の将軍15代慶喜就任の1867年までの5年間の記録が抜けることになります。家茂在位9年間に対し56%の欠損となります。なお、慶喜の在任1年間については「触流し御能組」に記録はありません。
次に、「触流し御能組」演能記録を、将軍在位期に合わせて区分する対応表を示しておきます。各将軍時期別の記録期間(年)は、1年間あたりの曲別演能回数などを展開する基礎データとなります。また、各期間の終期は、当該将軍の逝去や退任日とせず、次期将軍就任日までとしています。但し、14代家茂については演能記録最終日の1862.3/26としています。(NO.は原資料の番組別整理番号でPとQの2種類があります。)
次回は2024.9/15に第6部-16「江戸中後期の演能状況概要」を掲載する予定です。
引き続き第6部をご覧になる場合は「謡曲の統計6」から進んでください。