その他 第6部-16 江戸中後期の演能状況概要
2024-08-30
はじめに「触流し御能組」を年代別に数えたデータを元に、江戸中後期の将軍期間別の演能番数(狂言を含みません)をグラフで見てみます。
江戸中後期141年間で6037番の演能がありました。(半能形式の切能を除きました)8代吉宗と11代家斉のときにそれぞれ1800番以上の演能があり、全体の30%ずつを占めています。家斉は在位50年、吉宗の演能記録期間は25年と、長期となっている結果でもあります。江戸城以外の演能がどれ程あるかは分かりませんが、上のグラフの何倍かはあると思われます。
次に、将軍期間別に年間平均演能番数をグラフで見てみます。
8代吉宗の時に毎年73番と飛び抜けて多く能が演じられています。これは第6部-4で示した2代秀忠と3代家光の75回前後に並ぶ頻度です。
少ないのは13代家定の時で21回/年は江戸中後期平均の半分程度、吉宗時代の1/3以下となっています。織豊期の17回より少し多い程度です。
また、14代家茂は12才で将軍となり21才の若さで逝去するなど、健康ではなかったと思われますが、演能回数が特に少なくなってはいません。
以下に、グラフの元となっている江戸中後期(1721~1862:141.7年)の歴代将軍期間別曲別演能回数(曲名単位番数)の集計値を示しておきます。(1日の演能の最後の切能を半能形式で演じた曲は、953回の翁とほぼ同じ番数が演じられたと推定でき、集計から外しています。)
現代は江戸時代の30倍近い演能番数頻度になっています。調査対象外の流儀を加えれば60倍近くになると想定されます。
今回は2024.9/15掲載予定を8/30に早めてUPしました。次回は2024.9/15に第6部-17「江戸中後期の曲別演能回数」を掲載する予定です。
引き続き第6部をご覧になる場合は「謡曲の統計6」から進んでください。