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その他 第7部-6 14代家茂将軍期

2025-04-23

次に幕末直前の14代家茂期のグラフを示します。江戸最後の慶喜将軍の前任となった家茂(1846~1866没)は、将軍在職が1858~1866年の7年9ヶ月ですが、演能データが1858年までの3.3年間分しかなく、演能も前期同様に「翁」を入れても62曲・113番と少なくなっています。
このグラフも上位曲に23曲を表示していますが、1~4回の演能しかありませんので、前々期までの上位曲とは同列に扱えないため、前期との合算で3回以上演能の「翁」を除く上位20曲を対象に比較することとします。前期と今期を合算して11期目として眺めてみます。

この11期目では「翁」を除いて20曲が3回以上演能の曲となっています。その内訳は「石橋;7回/江口・賀茂・田村・羽衣;6回/小鍛冶・高砂・東北;5回/猩々・道成寺・弓八幡・熊野;4回/安達原・箙・兼平・鞍馬天狗・忠度・張良・経正・鶴亀;3回」となっています。

前々期までの10期に今期を加えた全11期で、約半数の5期以上で上位曲となった曲は、「翁」を除くと次の20曲になります。「高砂・猩々;11期/田村・賀茂;10/道成寺・屋島;9/舟弁慶・三輪・熊野・箙・羽衣・東北;7/・江口・忠度・兼平;6/実盛・葵上・紅葉狩・石橋;5期」 現代順位では「兼平」142位と「箙」111位を除くと94位以内のよく演じられている曲となっています。ゴシックの11曲は30位以内の超人気曲となっています。

家茂は11代家斉の孫で、彦根藩主の井伊直弼の支持を受けて13才で14代将軍に就き、孝明天皇(1831~1867)の妹・和宮(1846~1877)と結婚して公武合体を進めますが、長州征伐のさなかに20才で病死します。

井伊直弼(1815~1860)は1858年にアメリカなど5ヶ国と修好通商条約を結びますが、1860年に尊王攘夷派によって桜田門外で暗殺されました。この後、徳川幕府最後の将軍に慶喜(1837~1913没・在職1867~1868)が就きますが、大政奉還によって明治維新を迎えて江戸時代は終焉を迎えます。慶喜期は演能データがないのでグラフを示せません。

次回は、2025.5/1に第7部-7「徳川将軍期別演能上位曲の比較」を掲載する予定です。

引き続き第7部をご覧になる場合は「謡曲の統計7」から進んでください。

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